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シリコン粉・シリコンダストはなぜ発生する?原因から健康リスク、対策のポイントまで解説

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半導体や電子部品の製造現場では、加工中にシリコン粉やシリコンダストと呼ばれる微細な粒子が発生します。
目に見えにくい粉じんですが、設備の稼働や製品の品質、作業者の健康にさまざまな影響を及ぼすことがあります。

本記事では、シリコン粉・シリコンダストの発生原因から想定されるリスク、対策のポイントまで解説します。

発生する原因

シリコン粉やシリコンダストは、加工の過程でどのように生まれるのでしょうか。
ここでは、発生に関わる基本的な仕組みを解説します。

粉になる工程

シリコンウエハーや部材を切断・研磨する工程では、刃先や砥石が素材を削り取ります。
このとき生じた微細な破片が空気中に飛散し、シリコン粉として現場全体へ広がります。
加工時に生じる摩擦熱や激しい振動も、粒子がさらに細かく破砕される要因です。
工程の速度や圧力、使用する砥石の種類によっても、粉じんの発生量や粒度が大きく変動します。

結晶と非晶質の違い

シリコンには、原子が規則正しく並ぶ結晶構造と、並びが不規則な非晶質構造があります。
半導体用途で扱う結晶シリコンは、じん肺の原因とされる結晶性シリカ(石英など)とは異なる物質です。
ただし、シリコン自体の微粉じんも長期間吸入し続ければ肺に負担が蓄積します。
加工時の熱で表面が酸化してシリカ化するケースもあるため、現場ごとに粉じんの性状を把握することが大切です。

粒子が舞いやすい理由

シリコン粉は粒径が数マイクロメートル以下と非常に細かく、サブミクロン領域に及ぶこともあります。
粒子が軽いため空気中に長時間漂いやすく、気流に乗って広範囲へ拡散しやすい性質を持ちます。
作業場のレイアウトによっては離れた場所まで届く場合もあります。
特に空調の気流を受ける吹き出し口付近は、拡散が進みやすい場所です。

なかでも以下の工程は、シリコン粉が発生しやすい加工領域です。

  • ダイシング加工:ウエハーを個々のチップへ切り分ける際の切断面
  • 研磨仕上げ:表面を平滑にする工程での砥粒と削りかす
  • 穴あけ加工:ドリルやレーザーによる加工時に生じる高濃度の粒子やヒューム状微粒子

いずれの工程も、切削や研磨を伴う作業ほど粉じんの発生量が増えやすくなります。

想定されるリスク

シリコン粉やシリコンダストは、放置すると現場のさまざまな場面に影響を及ぼします。
ここでは、想定される問題を解説します。

設備の摩耗

微細なシリコン粒子は非常に硬度が高く、機械の可動部や軸受けなどの隙間に侵入しやすい特徴を持っています。
侵入した粒子が潤滑油に混ざり込むと摩擦が増大し、部品の摩耗を早める大きな要因となります。
放置すると設備の精度低下や異音の発生を招き、突発的な故障や稼働停止につながるおそれもあります。
定期的な清掃と点検を行い、粉じんの侵入を防ぐ予防保全に努めることが大切です。

製品の品質低下

半導体や電子部品の製造現場では、ごくわずかな微粒子の混入が重大な不良につながります。
浮遊するシリコン粉が回路パターンや基板表面に付着すると、断線や短絡を引き起こすためです。
その結果、検査工程での不合格率が上がり、歩留まりの低下に直結します。
特にクリーンルームなどの清浄度が高い環境ほど、粉じんの影響が顕著に現れます。

作業者への影響

シリコン粉を長期間吸入し続けると、肺に粒子が蓄積して深刻な呼吸器疾患を招くことがあります。
粒子のサイズや吸入量に応じて影響の程度が変わるため、適切な濃度管理を意識しましょう。
また、微細なシリコン粉は可燃性を持ち、空気中に飛散した状態で着火すると粉じん爆発を起こす危険性もあります。
作業者の健康被害防止と防爆安全管理の両面から、厳格な管理体制を整えておくことが重要です。

現場で見られる典型的な影響は、以下の3点です。

  • 設備トラブル:軸受けやセンサーへの粉じんの詰まりによる誤作動や停止
  • 製品不良:基板やレンズへの付着による性能検査での不合格
  • 健康・防爆リスク:呼吸器への影響などの健康リスク、および粉じん爆発のリスク

これらの影響は、粉じんの濃度や作業時間の長さによって重さが変わってきます。

関連する法令・規制

シリコン粉じんへの対応は、いくつかの法令によって枠組みが定められています。
主な内容を押さえておきましょう。

粉じん障害防止規則

労働安全衛生法に基づく「粉じん障害防止規則」では、粉じん作業を行う事業場に対し、適切な局所排気装置や換気設備の設置を定めています。
あわせて作業環境の管理体制を整えることも義務付けられており、作業者の安全を守るための根本的な枠組みとして機能しています。
じん肺などの健康被害を未然に防ぐことを目的とした制度であり、対象となる作業領域は規則の別表で細かく指定されています。

濃度測定の実施

粉じん障害防止規則第26条に基づき、該当する作業場では6か月以内ごとに1回の作業環境測定が義務付けられています。
測定結果は数値に応じて管理区分ごとに評価され、区分に応じた設備改善や対策の強化を実施します。
測定を怠った場合は法令違反となり、行政指導や是正命令を受けるリスクが生じます。
測定は専門資格を持つ者が行い、その記録は一定期間保存しなければなりません。

保護具の必要性

粉じん濃度が高い作業場では、防じんマスクなどの適合した呼吸用保護具を着用させることが定められています。
保護具は国家検定に合格した規格品を選び、定期的なフィルター点検や交換を行うことがポイントです。
あわせて作業者一人ひとりの顔の形状に合わせたサイズを選び、装着時の隙間をなくす配慮も求められます。
密着性が不足していると漏れが生じ、本来の防護性能を発揮できなくなります。

法令に基づく主な義務としては、次の3つが挙げられます。

  • 作業環境測定:6か月以内ごとに1回(義務)
  • 特殊健康診断:粉じん作業従事者を対象とした定期的な健康診断
  • 記録の保存:測定結果や診断記録の一定期間の保管

これらの義務を怠ると、行政指導や是正命令の対象となる場合があるため注意が必要です。

現場でできる対策

法令対応に加え、現場では日常的な対策を積み重ねていくことが成果につながります。
ここからは、具体的な取り組みを紹介します。

局所排気

発生源のすぐ近くにフードやダクトを配置し、粉じんを直接吸い取る局所排気は非常に効果的です。
作業者の呼吸域に粉じんが到達する前に捕集でき、全体換気と合わせることでより高い効果が見込めます。
フードの配置や角度だけでなく、開口面の風速や捕集速度を適正に設定することも取りこぼしを防ぐ要素となります。
現場の加工機器や作業動線に合わせた吸入機構の設計が役立ちます。

集塵機の活用

粉じんを高性能な集塵機で確実に吸引・捕集する方法も効果が期待できます。
フィルターの目詰まりを防ぐため、定期的な清掃や部品交換などのメンテナンスを運用ルールとして定めておくとスムーズです。
また、捕集されたシリコン粉の廃棄手順についても事前に規定しておく必要があります。
選定時は現場の設置スペースや稼働時の騒音レベルも考慮しましょう。

フィルター選定

シリコン粉じんの捕集には、粒径に合わせたフィルター選定とこまめなメンテナンスが重要です。
0.3µmの微粒子に対応するHEPAフィルターなどを採用することで、捕集漏れを防ぎやすくなります。
日常的に差圧の変化を点検し、目詰まりの状況に応じて交換しましょう。

現場における主なチェックポイントは、次のとおりです。

  • 捕集効率の確保:微細粒子に対応するHEPAフィルターなどの採用
  • 差圧の日常管理:点検による目詰まりの検知と交換時期の見極め
  • 環境耐性の確認:温度や油分などの現場環境に適したろ材の選定

適切なフィルターを選定し日々の管理を徹底することで、粉じんの拡散を最小限に抑えられます。

まとめ

シリコン粉やシリコンダストは、切削や研磨などの加工工程で生じる微細な粉じんです。
放置すると、設備の摩耗や製品の品質低下、作業者の健康への影響に加え、高濃度時には粉じん爆発のリスクにもつながるおそれがあります。

対策を進める際は、発生源の近くで粉じんを回収することが基本です。
あわせて、法定の作業環境測定や保護具の運用、集塵機やフィルターの選定も欠かせないポイントです。

目に見えにくい粉じんだからこそ、まずは自社の現場でどの工程からどれだけの粉じんが発生しているのか、現状を把握することから始めましょう。
設備や運用方法を見直しながら、製品品質の維持と働きやすい作業環境づくりを進めていく姿勢が大切です。

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